2024年も10月。あっという間に今年もあと3ヶ月を切った。
何をしていても自分は自分なのだけれど、この何年間か社会的な所属場所がわりと忙しく変化した。年齢的には立派な中年。ここにきて、自分にどこまで何が出来るのか、体力試しをしているのだろうか。2022年に通い始めた大学院は、おかげさまで今年の3月に無事修了。私は1型糖尿病者であることから、ピアサポートや病の語り研究が専門の教授(社会学)にご指導いただいて、当事者研究の論文を修めた。
大学院2年の頃からフルタイムの仕事を請け負っているが、副業は自由。これまでのご縁でお声がけいただいた場合には司会業などお受けしている。
フリーランスや業務委託というのはいわゆる「不安定」な職業に分類される。日本社会、というよりも、私と同世代から上は終身雇用という考え方が根付いているから、これまでどこか後ろめたさを感じながら社会人を続けてきている。自分で選んでいるから後悔はないが、いつも堂々と自信を持っているとは断言できない。NHKキャスターの仕事も含め、就きたいと思う職業の雇用形態がたまたま期限付きであることが多かったという捉え方が正しい。ただ、生活のためにお金を稼ぐことは大事だけれど、それ以上に自分が意欲と向上心を持って取り組めることを職業にしたいということが軸にある。私にとって、これだけは譲れないポイントだということははっきりしている。
あまりにブログを書かないもので、ここまでめちゃくちゃ簡単に近年を振り返ってみたが、「体力試し」とタイトルに書いたのは、登山をしたから。こっちはリアルな体力試しだ。10月12日にひとつ歳を重ねた。山に登るタイミングを逃し、今年は大好きな登山にほとんど行けていない。せめてマイ・バースデーにはと、称名滝登山口から大日岳登頂を目指すことを思い立った。高低差1500メートル。誕生日くらい自分を甘やかせばいいのに、チャレンジを選んでしまう…我ながらよくやるわ。称名滝のゲートが開いているのは、朝7時〜午後5時まで。私の体力では一泊した方が賢明と、大日平山荘を予約した。最終営業日の1日前。ギリギリセーフの幸運。
登山は想像した通り、いやそれ以上に大変だった。午前中は快晴だったものの大日岳に到着した頃はガスがかかって、お目当ての剱岳は全く拝めなかった。登りも辛かったが、下りでは足がガクガク。そのまま称名滝登山口に戻るなんて、とんでもない。大日平山荘の予約は大正解だった。ここの山荘は水が出るのでとてもありがたい。なんと温かいお風呂にも浸かることができる。お布団も太陽の匂いがしてふかふか。山荘の主に聞けば、富山県民はあまり宿泊しないとのこと。確かに、食事の時に他の宿泊客と会話を交わすと、関東、関西、中国地方と遠方からの方ばかり。
「県内の人ならではの魅力的な山(低山)は?」とか「立山連峰が見えるおすすめスポットは?」などたずねられ、外から見た富山の魅力や立山連峰に対する憧れを知るきっかけになった。私も相当な立山好きだと思うが、もしかすると立山の魅力というのは私が考える以上に多様で深いのかもしれない。日本百名山を制覇したような登山愛好家たちも立山を抱く富山県が羨ましいと言うのだから。この日は夜空に彗星が現れると聞いたが見られず、その代わり富山平野の明かりががキラキラと宝石のように美しかった。
さて、宿泊した翌日は、ただ下山するだけ。朝の静かな大日平から眺める富山平野はまた格別。そこだけでそこだけで30〜40分ほど景色を見ていただろうか。随分とゆっくり過ごした。低木で視界が開けている大日平を抜けると、岩場の多い山の中をひたすら下山。下りばかりも足に来て辛い。昨日の筋肉疲労が癒えていないから、思い通りに足が運ばず想定より時間がかかった。頭の中は下山してソフトクリームを食べることでいっぱい。その思いは無事に叶った。
人生100年とはいうものの、私には持病もあるし、一般的にも健康には気をつけなければならないお年頃。何事もなく登山ができたことには感謝したい。さて、次の体力試しはなんだろう、なにしよう。また1年頑張ろう。